神様のヒマ潰し

The trick is living without an answer.

遅れてきた青春

今週末は久しぶりに青春っぽいことをたくさんした。
歯医者さんの予定を午前中に振り替えるのを忘れていて、
歯が痛いんです!と半分嘘をついて午前中に繰り上げてもらった。
いい加減に3回くらい通ったら満足してサボる癖をやめなければ。
担当のお兄さん先生は爽やかだけど少し嫌味な笑顔で、
「久しぶりだねえ」と言ってテキパキ治療してくれた。


そこから渋谷で一蘭のラーメンを食べてからうろうろしていたら、
男友達がハウスメーカーとの打ち合わせが長引いて来れなく
(ていうかマンションじゃなくて家建ててるのかよ!)
もう一人の今年ロッキンに連れて行ってくれる男友達を待ってたら、
どうやら彼は車で来るらしく「ドライブにしない?」とのLINEで、
そういえばこの子と大学時代に彼のバイクの後ろに乗って、
3月上旬の風が冷たい中江の島の海まで行き、しらす丼を食べ、
大学生には高い江ノ島水族館の入場料2000円を払って、
夕暮れを見ながらばかやろー!って2人で叫んだことを思い出した。
そこら辺にいたカップルに撮ってもらった写真の距離感が微妙だったな。

蒸し暑いスクランブル交差点の脇でマック赤坂が踊っていて、
渋谷と新宿どっちがカオスだろうかと考えていたら赤い車が止まる。
手招きされて助手席に乗り込むと車内はとても綺麗で、
やっぱりお礼は飲み物だけで正解だったな、と密かにガッツポーズ。
そしてハンドルを見たらアルファのロメオ様でびびった。
さすがサラブレッド金持ちは嫌味なくこういう車に乗れてしまうのな、
と思いつつも3年ぶりくらいに会う彼は何も変わってなくて楽しかった。
夜ご飯までの暇つぶし付き合うよ、と下戸な彼とカフェを探し、
商店街をぶらぶら30分くらい歩いて見つけたコーヒー屋の軒先で
アイスラテの氷を溶かしながら昔話やこれからやりたいこと、
一人旅の醍醐味とか教えてもらって、学ぶことが多かった。


じゃーね!とさらりと別れて次は大学の先輩くんと、
ビストロ→イケメン店長がいるイタリアン→日本酒→イタリアン逆戻り、
と色んなお酒をちゃんぽんして恋愛だったり、
セクシュアリティだったり、アイデンティティーとは友情とは、
みたいな大きいくくりの話をたくさんしたと思う。

私とずっと友達で居てくれる人たちはありがたいことに、
私をどの立場からもこうであるべきだ、とジャッジしない。
カテゴライズせず、枠にはめず、そのままを受け入れてくれる。
でも人間としてだめな言動はしっかり叱ってくれるし、
私も彼らや彼女たちにそういう存在であれたらいいな、と思う。


そんなことを思いながら最後のティラミスがお腹に応えたな、
とほろ酔いの気分でシャワーを浴び、ドライヤーで髪の毛を乾かし、
さて薬飲むか、と携帯を見たら電話がばんばんなっていた。
去年に最寄り駅で酔っ払いから助けてくれたことがきっかけで
腐れ縁的に友達になった1個下の子から、連れがあゆさんに会いたいらしくて、
と友達に渡された電話で2人ともべろべろに酔っていたので、
家の下まで出てきてくれるならお話に付き合ってやろう、と
ブルーノ・マーズのライブTにジーンズにビーサンとパーカー、
おまけに目が三重に見えると評判のメガネにすっぴんで降りたら
案の定「俺のこと覚えてますかああ!」って連れの子が言うけど
2回会ってるはずなのに記憶から完全に顔が抜け落ちていた。

0時を過ぎた川べりに腰かけてアイスを買い与え、
3人で幸薄そうな女優が好きだの、村上春樹の小説だの、
野球やニートとしての過ごし方について、3時間近く喋った。
中高生のころは漫画で、大学生になってはドラマで見て憧れていた
「夜中に静かな場所でどうでもいいことを異性と延々と話す」
という青春は28歳になろうとする年になってやっとかなった。

私はステレオタイプな「青春」に憧れていて、
人との適切な距離感が最後までわからなかった学生時代を
思い出すと今でもwhat ifの迷路にずんずん進んでいく。
友達も、恋愛も、もう少し上手く立ち回れてたらどうだったのかな、
そんなことを考えては遠くを見て、当時はなかった選択肢を思いついて、
深くため息を吐いてから時には立ち上がり、時には泣く。


日曜日は大学の同期の男の子と映画デートで、
彼は私が知る人の中で一番のファッショニスタなので念入りに服を選んだ。
黒いブラウスにビジューのカーディガンを巻いて、
白いスキニーのデニムパンツにカジュアルなグッチの黒いバッグ。
かっちりしたリボンのついたパンプスで日比谷に着いた私は、
浴衣で登場した彼に相変わらず面白いなと思いながら映画を見た。

コリドーをぶらぶら歩き、あのバーテンがイケメンだ、
とかきゃあきゃあ言いながら最初はリゴレットで適度にお腹を満たし、
先ほどのイケメンがいるテラスのカウンターでコスモポリタンを飲み、
ファッションとは、から始まりまた最後は大きいくくりの話で終わった。
大学の同期は政治経済からカルチャーまでなんでもござれな子が多くて、
話題がどこに飛んでも得るものがあって楽しい。


無意味な会話も、意味があって、意味がある会話も、時には忘れる。
それでも笑ったこと、深く考えたことは頭の片隅に残っていて、
私という人間を作るパズルのピースみたいになる。
すぐはまったり、はまらなかったり。何年かしたら別の場所にはまったり。
そうやって、考えることをやめないで生きていたいなと思える週末だった。